郡上八幡水の研究のはじまり
水の恵みが失われてゆくなかで

なぜ、郡上八幡では、水の恵みが今日まで引き継がれているのか。

昭和52年(1977)3月、建築分野の専門雑誌「都市住宅」に「水縁空間の構造」という特集が発表されました。表紙には郡上八幡の地図を中心に、昔の絵図、水舟のイラスト、川に棲む魚、立体交差する水路があしらわれています。本文には、渡部一二先生(当時多摩美術大学)をはじめとするグループが、昭和48年(1973)から4年間に渡って行った調査の成果が多くのイラストと写真とともに43ページに渡って紹介されています。この調査が郡上八幡に生きている水環境の価値を発見し、人々の意識を変え、水を活かしたまちづくりが動き出すきっかけとなりました。

渡部一二 先生

1938年小樽市生まれ。
多摩美術大学名誉教授。NPO法人郡上八幡水の学校顧問。
1973 年から、堀込憲二(当時日本大学)、郭中端(当時早稲田大学)らとともに、郡上八幡の水環境の調査を実施。 フィールドワークによってその価値を見いだし、伝えながら、郡上八幡のみずのまちづくりに関わりつづけている。

  • 水縁空間の構造
  • 水縁空間
  • 水の恵みを受けるまちづくり

渡部一二先生たちの調査

渡部一二先生は、昭和40年代から大きく変わっていく東京の川の様子を見て、このままでは日本の都市の川はダメになってしまうという危機感を持ち、世界、日本各地の川や水路の調査をはじめました。金沢、萩、津和野など40近くもの都市を巡った後に、郡上八幡に出会います。そして「水源確保の条件がこの町ほど豊富なところは少ない」「好ましい水利用を可能にする住人の管理組織が強固に組まれている」という郡上八幡の特徴に気づき、詳細な調査を行いました。水舟やカワドなど水利用施設の魅力的なスケッチ、それらがまちや建築の中にどのように組み込まれているのかを示した地図や図面によって、水のまちの特徴をわかりやすく発表されました。あわせて、当時の郡上八幡の人達にとってはまったく当たり前に見える環境がどれほど貴重で素晴らしいものであるかを、住民のみなさんに繰り返し説明されました。こうした渡部先生の熱意は徐々に地域の人々の意識を変え、自らのまちを大切にし、水を活かしたまちづくり活動へのきっかけとなったのです。

現在の郡上八幡の水の風景、ふるさとの風景は、
学術的な調査研究を契機として、住民によって守られ、育まれてきました。
水の学校では、この半世紀に及ぶ蓄積を途切らせないためにも、
資料や情報の収集を行うとともに新しい水の使い方の研究に取り組んでいます。

水の学校がこれまでに収集した文献情報をリスト化しています。
ぜひ研究・調査にご活用ください。

新しく論文、記事等を執筆された方で、文献提供にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、
水の学校事務局までお問い合わせください。

ただいま準備中です

こちらのコンテンツはただいま公開準備中です。
申し訳ありませんが、公開までもうしばらくお待ち下さい。

「水まちBOOK」の注文はこちら

order the booklet

郡上八幡の水に関する情報をまとめた冊子「水まちBOOK」

水のまち 郡上八幡
水のめぐみを活かす知恵
~ 郡上八幡の水環境とまちづくり~

発行 : NPO法人郡上八幡水の学校 全30ページ

500

購入をご希望される方は下記から問い合わせへ移動し、
住所・氏名・希望部数をメッセージにて送信してください。